「卵の話題」で抑えておくと役に立つ14箇条 その1
卵の国内自給率
日本の総合食料自給率は40%程度と言われています。この数字はずっと下落しており、日本の食文化から国内産の食品が消えてしまう日が来るのかもしれません。
そんな中ですが、卵の国内生産率は昭和35年101%から下落の傾向にあるものの、今でも96%(日本養鶏協会 参考)と高い水準を保っており、国内産の自給率を維持するキーとなる商品の一つとなっています。
ただし、国内の養鶏場のほとんどは海外から輸入した飼料を使っていますので、国内産とはいえ、エサだけの観点からみればもはや国内で育てる外国の鶏という表現が適切なのかもしれません。
卵の国内消費量
総務省のデータによると、執筆した2017年度時点における国内の平均年間消費額は9,189円、30,330gとなっています。
仮にMサイズの卵(1個約47g)とした場合、645個、つまり1日1.8個程度食べていることになります。
この消費量からも、卵は日本の食生活には無くてはならない食べ物として食生活に密接にかかわっていることが伺えます。
さて、消費量についてもう少し見ていくと、一番多く消費されている市は鳥取市の30,330g、最少は甲府市24,790gとなっており、この差は5,540gあります。何が違うのかは今後の研究材料としておきましょう。
国内の養鶏場の数
国内における採卵型の養鶏場は農林水産省のデータによれば平成3年10,100戸であったものが、平成28年には2,440戸と約4分の1まで減少しています。
一方で、1戸あたりの飼養羽数は平成3年13,792千羽であったものが、平成28年には55,200千羽と4倍になっています。
つまりは、この25年で養鶏場の淘汰が進んだものの、勝ち組の養鶏場が生産量を増やし、国内の自給率96%の水準を維持しているということです。
養鶏場の数が減るということは、卵の品質の多様性が失われることでもありますので、商品の均一化が進んだものと考えられます。
価格動向についてはおおむね1%の生産量の変動が5.5%の価格変動につながると言われています。
卵の市場販売価格
我が家の近所のスーパーで売っている卵は12個パック200円、安売りセール時98円です。
たぶん全国的に見てもこのぐらいでしょう。1個あたりに換算すると8~16円になります。
先ほどの卵の年間消費量と年間消費額から算出しても1個14.2円となりますので、妥当性がありそうです。
ところが全国的に見ますと、エサや飼育環境等、こだわりを持って作られた卵はもっと高額であり、中には1個650円というツワモノまであります。
つまり全国的に見ると卵1個当たりの価格は8円~650円と81倍もの開きがあるのです。
一方、生産コストの面から見ますと、卵一ダースあたりの生産コストは、日本は世界で5番目、1.42ドル(鶏鳴新聞 参考)とあります。日本円で換算(@108円、新聞掲載時の相場)しますと、1ダース153円、1個当たり12.8円の換算です。
国内平均販売額が14.2円なので、1個当たりの利益率は9.8%ということになります。
さて、高級卵に話を戻しますと、卵の販売価格が原価に依存するものならば、高級な卵はその分原価が高いことになります。仮に1個650円の売価の卵の場合であれば、利益率9.8%時の原価は585円となります。
同じ卵といえど、スーパー等で売られている卵と根本的に育て方や飼料などが異なっている卵が、このような高級卵となっていると思われます。
(中には価格だけ高いというのもあるかもしれませんが・・・。その場合は飼育ノウハウ代金という解釈になります)
ネットで売られる卵の価格
卵の購入は直販店やスーパー、ネット通販等が主流です。
特にこだわりを持って商品を選びたいユーザーはネット通販を多く使っているようです。
もちろん直販店でも買えますが、全国的に見ると、直販店まで買いに行けるユーザーは限定的です。
では通販についてですが、どのぐらいの方が興味を持っているのでしょう?
例えばGoogleで「卵」を検索する回数を見てみますと、平均49,500回/月あります。ただ、この卵にはメダカの卵等、食とは無関係な卵も含まれていますので、正確とは言えません。
「卵 通販」ではどうでしょう?検索する回数は480回/月と出ました。全員がこの検索の仕方をしているとは言いませんが、少なくともこの方法で卵を調べた月480回の内、何人かは購入に至っているものと推測できます。
その他、例えば「高級卵」ですと720回、「こだわり卵」ですと320回となっています。
弊社もこだわり卵を販売していますので、この320回のニーズに対していかに的確にこたえれるかが重要と言えるでしょう。
卵の大きさの違いが生まれるわけ
卵サイズの違いによるSMLの仕訳ですが、これは重量で分けられます。結構大きさで分けていると勘違いされているかたも多いですが、重量なんですね。ちなみに国内の指標は日本卵業協会によりますと、
LL ・・・70g以上 76g未満
L ・・・64g以上 70g未満
M ・・・58g以上 64g未満
MS ・・・52g以上 58g未満
S ・・・46g以上 52g未満
SS ・・・40g以上 46g未満
となっています。参考までにアメリカでは、
ジャンボ(J) ・・・68.5g以上
エキストララージ(XL) ・・・61.4g以上
ラージ(L) ・・・54.3g以上
ミディアム(M) ・・・47.2g以上
スモール(S) ・・・40.2g以上
となっています。日本の方が仕訳が細かくなっています。アメリカはかなり小さな卵から商品として取り扱っていますね。
ちなみに、なぜ生まれる卵の大きさに大小が生じるのでしょうか?
その答えは、鶏の年齢に関係します。もう少し具体的には鶏のサイズ、そして卵管のサイズの影響を受けると言われています。
また、興味深い話ですが、SサイズとLサイズの違いは何だと思いますか?
実はこの違いは、卵の白身の量が異なるのであって、黄身部分の大きさはSでもLでも大きく違いがありません。
従ってこの原理を応用して、料理などでは目的に応じてサイズを使い分けるとよさそうな事がわかります。
卵の色はどうやって決まる?
色的な観点では、殻の色、黄味の色がよくピックアップされます。
殻の色については、鶏の品種によって変わってきます。
例えば白い卵といえば白い羽をもつ「白色レグホン」や「ジュリア」、茶色の卵では茶色の羽をもつ「名古屋コーチン」、「ボリスブラウン」などが有名です。
その他、エサの要因で色が変化することも一般的に知られています。飼料に含まれる色素が卵黄に反映されるのですが、卵が形成される過程をコントロールすることで、狙った模様を作れたりもします。
参考までに卵形成の過程を記載しておくと、まずは卵黄部のみが作られます。その後、白身がくるまれ、卵殻膜、殻が作られ体外に出てきます。 卵黄はおよそ8~9日で成熟することが知られています。
卵のヒミツ その1